僕はコンビニでレシートを断わることにした理由。その意外な効用とは。

僕はレシートが嫌いだ。
コンビニのレジ横に設置されているレシート入れを使うことさえ、わずらわしい。

 

あの小さな箱の中に、するっと滑り込ませなければいけない。

1秒の遅れでもとれば、目の前の店員さんに、怪訝な顔をされることは請け合いだ。

なおさら、後ろに行列が出来ている場合なんかは、なかなか余裕がない。

他のレシートでいっぱいに溢れていることもある。

「うまく滑り込ませよう」と思えば思うほど、集中力を使ってしまう。そんなのは嫌だ。

 

ところで、僕はコンビニによく行く。

ホットスナックやチロルチョコを買いに行くために。

1日に5回は使っていると思う。

 

つまりそれは、レシートを処理しなければいけない機会が、1日に5回はあるということだ。

これを1年間に直すと、1825回になる。(うるう年は計算に入れない)

 

このオペレーションは何度も繰り返される。
よりフレキシブルにコンビニを使うために、オペレーションの手順はひとつでも少ないほうが良い。

たとえばウェブサイトでは主要コンテンツを、1クリックで行ける場所に配置するように。

 

この話を「馬鹿らしい」と思うとしたら、それは人間の行動心理が分かっていないせいだ。

ひとつのオペレーションが変わるだけでも、人間の意識への働きかけが変わり、それはつまり、行動の仕方が変わるということだ。

たぶんコンビニやスーパーのマーケティング部門の人なんかは、このことを熟知しているだろう。

 

だから最近は、言葉に出してレシートを断わるようにしている。

お会計の途中、店員さんがレシートを手にとっているのを確認したら、なるべく丁寧に、好意的になるよう気をつけながら、声に出して言ってみるのだ。

 

「あ、レシートはけっこうです」

 

って。

 

(レシートを渡さない派の店員さんもいるので、その場合は何も言わない)

 

最初は「わざわざ、そこまで言うのはコストが高くない?」と思っていた。

だけど、これが案外良い塩梅だ。

 

何も言わずに、レシートを渡されてショックを受けることの方が、ずっとコストが高い。

たとえば「チロルチョコ1個買っただけなのに、レシート要らないから!」と心の中で叫ぶよりも良い。

 

さらに分かったことが、あとひとつ。

 

こんな些細なセリフでも、店員さんとちょっとした会話を交わしたことになる。

そのせいか、心を少しだけホッコリさせてくれる効用があるみたいだ。

人間の声と声のコミュニケーションだからだろうか。

 

ということで、僕はレシートを断わるようにした。