TOSHIと洗脳と空と雲
その昔、もう20年前ぐらいだろうか。
X-JAPAN の TOSHI が洗脳を受けていると話題になっていた時、
本人がバラエティ番組でこんなことを話していた。
「たとえば空にはソラという名前が付いているけど、僕たちがそれにソラっていう名前を付けて呼んでいるだけで、本当はなんでもないもの、なんだかよく分からないものじゃないですか」
というようなことを。
この話を聞いて、ぽかーんとする司会者やコメンテーターたち。
(番組のエフェクトで全員の頭の上に「はてなマーク」が付与されていた)
だけど僕はこの話が、ある程度腑に落ちた。
「ソラ」というのはあくまでも人間が付けた名前。
そこに「クモ」があって「アメ」が降ったりする。
だけどその全ては、人間が都合の良いように、その「機能」に対してラベリングをしただけのものだ。
だから、もし言葉というラベルをすべて外してしまったら、
きっと空に対しても、雲に対しても、今までとは全く違う見方になるはずだ。
というよりも、たぶん空や雲という区切りさえも曖昧になるか、消滅してしまうことだろう。
このTOSHIの言葉が、元は誰の思想かは知らないけれど、物事の本質を突いていると思う。
(いや「物事でないもの」の本質とでも言おうか)
だけど、この話を聞いてぽかーんとするということは、
僕らの多くは本当に「人が付けた名前」とか「人間が物事に与えた役割」の世界に生きているんだなと思った。
「名前付けが存在しない世界」なんて、思い出すのさえ一苦労だろう。
ところで、洗脳騒動よりも前に発売された「碧い宇宙の旅人」は本当に癒される良いアルバムなので、ぜひ聴いてみてほしい。