四人でボードゲームを遊ぶ難しさについて (「 決戦! ドカポン王国 Ⅳ」 )
お題「一番好きなボードゲーム」 を挙げるとしたら、このタイトル一択だ。
果たしてテレビゲームはボードゲームと言えるのだろうか。
言える。
何故ならボードが物理上に存在するか、電子上に存在するかは問題ではない。
僕らに必要なのは駆け引きだけだ。
パッケージ
ところでこのゲーム、パッケージは少しポリゴン風に描かれているが、ゲーム自体は全くポリゴンではない。
あとタイトルにⅣと付いているが、まったく四作品目ではなくて初代作品だ、ということを知ったのは大人になってからだった。
何故このタイトルなのか。
「4人で遊べること」を表現してⅣになったのだろうか。
いや「既に定番のシリーズであるかのような錯覚を抱かせる」という、当時にしては高度なマーケティングだったのかもしれない。
4人でボードゲームを遊ぶ難しさ
多くの諸君が経験していることと思うが、ボードゲームを4人で遊ぶというのは至難の業が必要とされる。
まず遊ぶ年数の設定が難しい。
周回年数を99年に設定したりしても、絶対に1日では遊びきれない。
ドカポン王国然り。桃太郎電鉄然り。
もし99年を遊ぶとしたら丸1週間はかかることだろう。
ボードゲームにはセーブ機能がある。だから日を変えて遊び直せば良いのだが、それも不可能だ。
子どもたちは「また同じメンバーで集まって遊ぼう」と固く誓いはするものの、その約束が果たされることはついにない。
たとえまた、奇跡的に全く同じメンバーが集まる日がやって来たとしても、その頃には既に時が過ぎ、前回の記憶は薄れ、結局はまた新しいゲームを始める方が良いという結論に落ち着くこととなる。
なので、これに教訓を得た子どもたちは、「今日遊べる時間」に対して周回年数を絶妙に調整する技を身につけるのだが、それはそれで、毎回序盤のゲームだけを楽しむこととなる。
より奥深い戦略性があるはずの、ゲーム後半までたどり着くこともまずない。
むすっとする奴
ボードゲームの難しさとは、人の気持ちだ。プライスレスだ。
この手のボードゲームはだいたい後半になればなるほど、成功しているプレイヤーと、失敗しているプレイヤーの差が開く作りになっている。
しかも、大昔のスーパーファミコンのゲームなのだから、その特徴は顕著だ。
その結果何が起こるか。
負けているプレイヤーは途中から「むすっ」としてしまうことになる。
「何かあいつ、全然楽しくなさそうだな」と思ったら、それはゲームで負けが込んで、まったくゲームを楽しめていないせいだ。
- 勝っているプレイヤーはずっと遊び続けたい
- 負けているプレイヤーは早く終わりたい
これがボードゲームの難しさである。
勝者と敗者
ゲームというものは、勝者だけが楽しんでも、その勝者さえ、長く楽しむことは出来ないのだ。
なぜならボードゲームの楽しさは、全てのプレイヤーが熱くなれるかどうかにかかっているからだ。
本当なら僅差で白熱するゲームが一番楽しいのだろうけれど、意図的にそのゲーム展開を作り出すことは出来ない。 誰かがわざと負けてでもやらない限りはね。
そう思うと「上級者が負けてやる」とうのは「ゲームを熱を失わせないための優れた戦略」なのかもしれない、とふと思った。
盆をひっくり返すゲーム制作者
この手のゲームには周回が終わった最後に「王様からのボーナス」的なイベントがあるのが定番だ。
このドカポン王国にも、確か最後にそういったイベントがあったはず。
だが同シリーズのプレイステーション版の作品では、 なぜか「一番死んだプレイヤーに大きな報酬が入る」というイベントがあって、それが莫大な金額に設定されていた。
たとえば2~3時間かけて、1位のプレイヤーが貯めた金額が1000Gだとしたら、一番死んだプレイヤーへのボーナスは50000G、というような壊れた設定だった。 そのせいで、それまで4位だったプレイヤーが、一気に一位に踊り出て優勝してしまうという珍事が起きた。
誰がどう考えても、天地が逆転しても、明らかにおかしいゲームバランス。 これをクイズ番組で言うならば「最後の問題だけは100万点だけど、回答者にはそれが知らされていなかった」状態。
ものすごく興ざめして、二度と遊ばなかった。
このようにゲームにおいては「盆をひっくり返す」ような仕様はご法度である。 だが今思えばこれは「むすっとしてしまう奴対策」の仕様だったのかもしれない。
ドカポン王国の面白さ
ところでこのゲームの面白さは
- 敵 / 経験値 / お金 / 武器 / アイテム が存在するRPGのベーシックさ
- レベルが上がるごとに各パラメータにボーナスを割り振ることが出来る
- モンスターから村を救出すると、村から定期収入が入るようになる
- 村に寄付をして、収入をアップグレードすることも出来る
- プレイヤー同士が戦うことが可能で、勝ったプレイヤーは相手の持ち物を没収することが出来る
- 4つのボタンで繰り広げられる絶妙な心の読み合い
- 負けたプレイヤーは何周か全くゲームに参加出来なくなる
このように
が絶妙なバランスで組み合わされているところが、奇跡的に面白いのだ。
この作品、末永くシリーズが出続けているようだが、一番面白いのは、なんといっても荒削りな初代のⅣだ。
TVCM
当時、コマーシャルでは「友情破壊ゲーム」と銘打って宣伝されていた。
これが本当に、悔しすぎてないてしまった子供もいるぐらいの衝撃的なゲームだったのだ。
ゲームに性格は表れる
これは僕の持論だが、ゲームのやり方にはものすごく性格が表れる。
- 敵と戦って着実に経験値を貯めていくやつ。
- 序盤から赤い宝箱を開けて、ギャンブルに賭けようとする奴。
- 心理戦で相手のパターンを分析し、確実に裏をかいてくる奴。 (大人になって出世しただろうな)
- プレイヤー同士の戦いになったら絶対に「逃げるコマンド」を選ぶやつ。
今できるならば、子供の頃の過去のプレイを見返して、それぞれどんな大人になったか振り返ってみたいものだ。
どんなパラメータを割り振って、どんな風に成長しているのだろう。
しみじみ。