「会ったこともない人を批判するのはおかしい」という主張について
「会ったこともない人を批判するのはおかしい」という意見を、ネット上でたまに見かける。
たとえばTwitterでの論争で。 批判を受けた側が、この主張を批判者に投げかけていたりする。
だがしかし。批判を投げかけた側のマナーがどうであったかは、ひとまずさておくとしても。 「会ったこともない人に評価を下す」という行為自体は、僕たちが文化的に、当たり前のように日々おこなっていることではないだろうか。
人間というものはそもそも、会ったこともない人にリアリティを感じて、それを評価する生き物のはずだ。
たとえば、
- 芸能人
- 政治家
- 歴史上の人物
- 噂に聞いた誰か
など。
会ったこともないイチローを尊敬し、会ったこともない夏目漱石の小説を読み、会ったこともない、存在もしないキャラクターを好きになる。(ミッキーマウスとか、アンパンマンとか、綾波レイとか、空条承太郎とか)
僕たちは抽象度の高い脳を持っているので、対象を評価するに当たって「会ったことがあるか、どうか」を普段、全く重要にはしていない。
「会ったこともない人を批判するな」と主張する当人も、おそらく今まで無数に、「会ったこともない人」に評価を下してきたことだろう。
これをやめるということは、ある意味、僕たちが脳の抽象度を切り捨てるということだ。
もし問題があるとすれば、それは具体的な批判の方法だろう。 その人に「会ったことがあるか、ないか」ではないはずだ。